私の哲学Presents
新井裕明の哲学

寝食を忘れるほど、自分で決めた目標に没頭してきた新井裕明は、困難のない人生に物足りなさを感じた。「やると決めたことに対して、できない理由と決別し、可能性を探し続け、行動することが決断」と語る青年の人生哲学とは。

Profile

新井 裕明(あらい ひろあき)

株式会社INFINITURE代表 | 『すごい会議』認定コーチ | MBA取得
1981年生まれ、福岡県出身。福岡大学薬学部卒業後、地域密着型ドラッグストア・調剤薬局の会社に入社。地域医療を担う薬剤師を志す。クライアントとして『すごい会議』に出会い、社内コーチになる。2016年、可能性に満ち溢れた無限大(INFINITY)×未来(FUTURE)を人や組織にもたらすという信念のもと、株式会社INFINITUREを設立し、『すごい会議』コーチとして活動中。仕事だけでなく、趣味のトライアスロンとゴルフにも全力で取り組んでいる。

自分の中のリミッターが外れた経験

高校時代までずっと野球に夢中になっていて、あまり勉強はしていませんでした。大学受験するにあたり、今の実力のままでは合格できそうにない大学を選ぶという基準で、学部を限定せずに、教育学部、工学部、薬学部の3つを受けることにしました。結果、E判定から合格した薬学部に入学しました。一般的には、薬剤師になることを目指して薬学部を複数受験するのですが、自分の能力の限界に挑戦するという、少し変わった受験でした。僕は決めたことに没頭するタイプで、友だち付き合いもなくして勉強し、寝ている間も勉強できないかと考えたほどです。大学卒業後、国家試験に合格、晴れて薬剤師に。地元福岡で展開しているドラッグストアに入社しました。

薬剤師として経験を積みながら、徐々にその資格の枠を外して10店舗以上の薬局をマネジメントしたり、市内の介護施設への飛び込み営業200件などに取り組む日々を送っていました。やりがいのある仕事で楽しかったのですが、自分の想像を大幅に超える失敗や、自分のリミッターが外れるほどのチャレンジとはいきませんでした。そんな日々を過ごす中、ある日『すごい会議』のファウンダー大橋禅太郎さんによる一日経営会議のメンバーに選ばれました。これが僕にとって大きな転機となりました。

経営チームが一つになって、会社の未来に向けて本気になっていく。不安とワクワクが混ざり合う中、死ぬほど大変でしたが想像以上に楽しかった。今までできなかったことを達成すると、チーム内に一種の感動がおきます。それは、人や組織を変えてしまうほどのもの。「新しいことにたくさんチャレンジできて最高だった」「自分の才能を心おきなく発揮できた」と心から思えた経験でした。

さらなるチャレンジを求めて

経営チームで行った『すごい会議』を、当時70あった全店舗に広げることになりました。社内コーチとして全プロジェクトのマネジメントを任された僕は、経営方針によって売り上げを伸ばしていくことや、チームで目標を目指すことが面白くなりました。何より、同じメンバーでもきっかけさえあれば、こんなにも成果が変わるということを目の当たりにし、人や組織のポテンシャルや可能性に強い関心を抱き始めました。より経営にインパクトをもたらすにはどうすれば良いか、経営についてもっと学びたいと思い、グロービス経営大学院の夜間に4年間通って経営の実践を学び、MBAを取得。そして、再び転機が訪れました。

人生という、自分が主演の映画をどう演じるか、残りの人生をどうしようかと考えたとき、3つの選択肢がありました。1つ目は、そのまま会社に残って社長を目指す、2つ目はグロービスで出会った仲間と起業する、3つ目は『すごい会議』で起業する。30年間の人生の中で最もインパクトを受けた経験をもっと世に広めたいと思い、3つ目を選びました。

打席に立つ回数は自分で決められる

起業1年目は、想定した以上に上手くいきませんでした。薬剤師時代、「一現場の薬剤師としての能力はたいしたことなかったが、ビジネスの世界ではきっとやっていける」と根拠のない自信だけはなぜかあったのですが(笑)、全くと言っていいほど売れませんでしたね。人脈もスキルもお金もない僕は、とにかく知っている経営者にアポイントを取り続けるしかありません。名刺やアドレス帳、Facebookを見ながらひたすら連絡を取りました。しかし、面白いくらいに売れば売ろうとするほど売れません。この経験は自分の実力のなさを受け入れる貴重な経験になりました。

一方で、低い打率でもめげずにその後もコツコツ営業を続け、限界だと思っても、もう半歩、もう一歩と繰り返し立ち上がって進んだことがのちの成果の礎になったと思います。当時はそんな余裕はありませんでしたけれど。この時に、折れない自分の心を知ったこと、打率を上げることを考えるよりも、まずは打席に立ち続ける行動の方が成果は確実に出ること、ビジネスでは成功するまでの打席に立つ回数は自分で決められることを身を以て知ることができ、大きな収穫となりました。

ワクワクは伝染する

遠足、運動会、好きな女の子とのデート、部活の大会、初めての仕事。誰でも前日からワクワクするような経験をしたことがあるでしょう。僕は、没頭できる仕事、すごく頑張っているように見えるけれど、本人は楽しくて努力している気は全くない、そんな「仕事にワクワク」な人や組織を増やしていきたいと思っています。

人生80年、65歳まで働いたとして、1日24時間のうち食事・睡眠時間を除くと、自由な時間は15時間、そのうち半分以上の8時間は仕事です。生涯労働時間は約83,000時間ですが、働き方改革で残業を減らして生産的な83,000時間にするよりも、僕はワクワクで溢れる83,000時間にする改革がしたいですね。そして、5年後、10年後にお客様が相当なレベルで成功したとき、「あなたとの出会いがなければ、ここまでの大成功はなかった」と言っていただけたら、この上なく嬉しいです。

やってみなければ分からない

「自分には不可能」と思うのは、自身の才能や能力を低く見積もっているだけ。やる、と決めてしまえば、多くのことが可能になると信じています。私自身「不可能」という思い込みをなくすため、できるだけ自分の意思では選ばない道を敢えて選択しようとしています。自分の意思で選ぼうとすると、無意識のうちに安牌を選んでしまいそうだからです。トライアスロンを始めてから、6ヶ月でアイアンマンレースを完走した時がまさにそうでした。自分では絶対に選ばない、心がウッとする方に舵を切った方が、不思議とこれまでにない感動を得ることができるものです。時間がない、体力がない、才能がないなどありとあらゆるできない理由と決別し、「判断せずに、まずは一旦やってみる!」というのが僕の特技。だからいつも、新しいことに誘われたら「Yes!or 喜んでYes!(笑)」。人生100年もあるかもしれないのに、食わず嫌いはもったいないですよね。

自分の人生なのに、「あの頃は楽しかったけど、今は・・・」なんて思いたくない。人生という映画の脚本、監督、主演は自分。一度きりなら、あの頃も今も楽しい、来年はどうやって最高の年にしようかと、毎年、毎年、新しいチャレンジができる喜びを味わいたいですね。

Message

未来へ、ブレークスルーを。

素晴らしい未来を創るのはいつだって行動かもしれません。その行動を起こす源は何か?それは、信じられないほどワクワクする未来があることを信じることからスタートします。
これまで100以上の組織変革プロジェクトに携わる中で見えてきたものは、より高い成果を出すチームほど「自分たちの可能性を信じる能力」が圧倒的だということです。

ワクワクがとまらない過去最高の1年とは何か?
「本当に手に入れたい未来を創る」と心から決めたその時こそが、未来へブレークスルーが起きる決定的瞬間です。

読んでくださった皆様の人生がより豊かになることを願って。

株式会社INFINITURE代表 | 『すごい会議』認定コーチ | MBA取得
新井 裕明

2019年7月 撮影場所:メゾン ポール・ボキューズ

企画・制作・編集:『私の哲学』編集部 インタビュアー:杉山大輔 ライター:楠田尚美 撮影:宮澤正明