私の哲学Presents
山岸寛光の哲学

強い信念、飽くなき探究心、折れない心。男が20年に渡って取り組み続けてきた「挑戦」が、一つの実を結んだ。何が、その成果をもたらしたのか。男は、この後、どこへ向かうのか。

Profile

山岸 寛光(やまぎし ひろみつ)

1962年東京都生まれ。1985年電気通信大学電気通信学部経営工学科を卒業。同年、日本電気株式会社に入社。着陸誘導用レーダーのビーム制御/追尾処理における開発/防衛情報システムの開発に従事。現在は技術者経験を生かし、設計・開発を中心とした品質マネジメントシステムの構築を手がけている。
1998年頃からプライベートでも技術開発に着手。趣味であるオーディオの専用電源に関する試作実験を開始した。試行錯誤の末、同じ電圧/電流でエネルギー効率を約1.5倍にする高エネルギー化電子改質技術の開発に成功。世界初となる発明を個人でやり遂げた。2018年3月、特許登録完了。世界PCT出願も経て、世界主要国に順次外国出願予定。
12歳の長女と4歳の次女を持つ父親。

理科と音楽が好き。これがすべての原点

小学生の頃の一番好きな科目は、理科。見ただけで大まかな仕組みが分かる、という特技がありました。将来は、科学者になってノーベル賞を取ろうと考えていましたね。もちろん、叶う可能性はまだ十分にあります。今、56歳ですしね。見えないですか? よく言われます。私は、自他共に認める、歳を取らない男なんです(笑)。

音楽が大好きで、中学生になってからは、ラジオの洋楽週間ベスト10番組を毎週録音して、繰り返し聴いていました。本格的にオーディオに目覚めたのは大学生の頃です。ソニーを筆頭に世界初のCDプレーヤーが日本で発売となり、魅了されました。私が特に惹かれたのは、ソニーが第2弾としてリリースしたハイエンドタイプのCDプレーヤー。当時の価格で26万円です。学生としては非常に高価でしたが、迷いませんでした。バイトで資金を貯め、パイオニア、ビクター、テクニクス、トリオの機器と組み合わせ、総額80万円のセットで揃えました。これをきっかけに、「質」の良い音にこだわって音楽を聴くということに、のめり込んでいきました。

趣味が高じて、実験開始

理科好きが高じて電気通信大学で専門知識を深め、卒業後、日本電気に入社。技術者としてさまざまな発明を手がけ、累計30件ほどの特許登録を実現しました。一方、趣味である音楽鑑賞に、もっとこだわりたいという気持ちが高まり、より良い音質で音楽を聴くにはどうしたらいいかと、考え始めるようになりました。

ある日、音質と、オーディオの電源との関係に着目し、オーディオの電源のエネルギー効率を改良することで、オーディオの音質が良くなるのでは、と仮説を立てました。こうなると、理科好きの血が騒ぎだし、検証せずにはいられません。そこで、まったくのプライベート研究として、ハイエンドオーディオを実現する、専用電源の開発と実験をスタートしました。1998年のことです。

ちょうどその当時、Esotericの10周年記念モデルとして、120万円のハイエンドCDトランスポートがリリースされ、オーディオ業界で随一の名機として評判になっていました。CDトランスポートは、デジタル信号のみを出力するので、音質への電源の影響を検証するのに最適な機材です。これまた高価な買い物でしたが、プライベート研究のカギはここにあると考え、迷わず購入しました。

20年の試行錯誤

会社員として平日の朝8時半から夜9時半まで、職務としての開発業務に注力し、帰宅後は、実験ケーブルの試聴。土日も、試聴を繰り返す日々。電源ケーブルの評価は、1週間以上の通電で大きな変化が表れるので、評価に忍耐力が問われるのです。

公私ともに実験漬けの私にとって、家族の存在は大きいものでした。特にプライベート研究は、非常に時間がかかったので、家族が支えでしたね。オーディオ専用電源の実験開始から14年目のことです。どうにもこうにも成果が上がらず、悩みに悩んだ私は、ついに実験をストップ。あれほど情熱を捧げていたにもかかわらず、一切考えるのを止めました。ほぼすべてのプライベート時間を費やしていた実験を中断した私は、一転、家族との時間に、注力しました。

人間って、不思議です。必死でやってきたことを一度捨てて逆のことをすると、むしろひらめきが生まれる。そういう仕組みが、脳に備わっていると思います。私は、この「休止期間」に次女を授かりました。子どもの放つ、すさまじいエネルギーに触れてたくさんの驚きを味わったのを機に、中断していた実験の重要なヒントをひらめいたのです。

オーディオに没頭していた時よりも、家族と団らんする中で気づいた。これこそ、家族が自分のことを支えてくれていたという証ですよね。家族と私の運命的な巡り合わせに感謝し、胸が一杯になりました。

新たな着想を得て、実験生活を再開した私は、2016年10月、ついに実験成果をまとめ上げ、世界初の技術として特許を出願。2018年3月、同じ電圧/電流でエネルギー効率を約1.5倍にする高エネルギー化の電子改質技術を個人特許として登録するに至りました。どこにも「音質」という言葉は出てきていませんが、これこそが私の学生時代からの趣味、高音質の音楽鑑賞を実現することができる技術です。ハイエンドオーディオの開発はもちろん、次世代EV(電気自動車)などにも活用できます。EV開発においては、バッテリー容量を変えずに、1回の充電で航続距離を既存の約1.5倍にできる技術なので、業界ニーズも高いだろうと予測しています。この技術を搭載したEVで、まずは、一充電あたりの航続距離世界記録にチャレンジしたいですね。

未知の適用範囲が無限にある技術です。この特許を採用したいと言ってくれるさまざまな分野のパートナー企業を増やし、社会全体を幸せにするような製品開発へとつなげていきたいです。

社会を大きく変えたい。ジョブズのように

今のVUCAの目紛しい変化の時代に日本特有のガラパゴスとなっているPDCAサイクルでは、対応が遅すぎて機会を逃し世界に生き残れないと言われています。世界では、OODAループで、狭い固定観念を捨てて、即断即決でスピード行動することで成功が得られる環境に大きく変化しています。世の中ですでに発見されている技術、使われている技術は、氷山の一角です。未知な技術の方が、その何倍も多く、莫大に存在しています。私は、人間の無限の可能性を追究するのが好きです。その追究の過程で見つけた新しい価値を社会に還元することが、自分の存在意義だと思っています。

今回、個人で実験を続けて特許を取得したのも、発見した技術をパートナー企業と組んでさまざまな製品に応用すれば、より多くの人を感動させたり、より多くの人に価値を提供できると思ったからです。尊敬する、ピーター・ドラッカー、アドラー、スティーブ・ジョブズのように、未来を変化させる機会にこだわって、自分しか出来ないオリジナリティで、社会を広く大きく変えたい。それが、私が最終的に実現したいことですね。
特許を取得した電源技術は、全ての電気機器に共通の根本技術であり、社会を広く大きく変える無限の可能性を持った技術だと確信しています。

特許が秘める未知の可能性

今、世界的に「量子コンピューター」の開発に期待が高まっており、注目を集めています。量子コンピューターを簡単に説明すると、「スーパーコンピューターを大幅に上回る処理速度を持つ、次世代コンピューター」のことです。Google やIBMといった大手だけでなく、ベンチャー企業が続々と現れ、実用化に向けた開発競争が加速しています。

私は、世界が注目する量子コンピューターの実用化に、今回発明した特許技術が資すると考えています。私の特許は、電源ノイズを破格的に抑制でき、波形を安定したまま、不要な消費電力を極限まで絞ることが可能です。ゆえに、無駄な発熱を防止することが可能となります。これが、コンピューターの高速化のカギを握っていると考えています。例えば、カルフォルニア大学らが2018年12月に発表した、「MESO(磁電気スピン軌道)」半導体を使用した低消費電力の常温量子コンピューターと組み合わせれば、実用化も夢ではありません。もちろん、一般的なコンピューターの高速化にも応用できます。

そのほか、医療、健康、美容方面の電気機器のアップデートにも生きるでしょう。私がこの実験を始めたのは、20年前の36歳の時です。以来、見た目も体力面でも、ほとんど歳をとっていません。その要因は、私が実験生活を通して、電子を通電し続けていたことにあると考えています。そこから、この特許技術を医療、健康、美容方面の電気機器に適用すれば、“不老長寿”さえ可能にしてしまうのでは、という仮説を立てています。もし実現できれば、まさに、ノーベル賞級の発見です。このように、特許の応用アイデアは無限に広がっています。

覚悟を決める。それが未来を決める。

20年かかっても諦めず、なぜ最後までやり通せたのか、と聞かれることがあります。その理由はたった一つ。覚悟を決めていたからです。「これは自分にとって本当に価値があって、大切で、絶対にやり遂げたいことだ」と。

たとえ成功の可能性が限りなくゼロに近くても、必ず達成できると強い信念を持っていれば、何事も成し遂げられる。私は、そう思っています。それって、「覚悟を決める」ってことなんですよね。すべてはそこから始まり、ある意味、それが全てです。量子力学上も、強く覚悟したことは、先に確定します。あとは時間をかけて、確定している未来の実現にたどり着くだけ。私は日々のダンベルトレーニングや、運動能力を高める食事の実践、そして電子の通電で歳を取らなくなっているので、いくら時間がかかってもいいんです(笑)。

かつてウォルト・ディズニーが語った、夢の実現に必要な「4C」をご存じですか? “curiosity(好奇心)”、“courage(勇気)”、“constancy(継続性)”、“confidence(自信)”の「4つのC」です。私も、この「4C」は夢の実現に不可欠だと思っています。そして「覚悟を決める」ことで、「4C」にさらに磨きがかかり、夢の実現へとドライブがかかる。これは間違いないですね。

今回の特許取得によって、私は一つの夢を成し遂げました。でも、「今までの常識を超え、人間の無限の可能性を追究する」という、人生をかけた覚悟を果たすには、まだまだ挑戦は続きます。覚悟した成果にたどり着き、真の夢を実現するまで、これからもじっくり一つ一つ取り組みたいですね。

Message

エネルギーに、賭ける

たった一つの電源の発明で、世界中の全ての電気機器のエネルギー効率が上がり、社会全体に絶大な影響力を与える。

これは、命を懸けてでも果たす価値があることだと思いませんか?世の中には、さまざまな電気機器が普及しています。そして、その質的な可能性は、電源強化によって絶大に広がります。EVやオーディオ機器にとどまらず、あらゆる電気機器の可能性が無限に広がるのです。

全てのモノは、電源やガソリンのような、動力の源となる「エネルギー」が決め手となります。そして、新しいモノやサービスが生まれる前段階においては、人の確固たる「情熱」「信念」「覚悟」といった心の「エネルギー」こそが、誕生の原動力です。このように、世の中の全ての素晴らしいモノは、「エネルギー」を上げることで生み出されるのです。

みなさまも、全ての原点となる「エネルギー」に、好奇心が湧いてきませんか?「エネルギー」に、人生を賭けてみませんか?
今まで世の中になかった、世界一となる電気機器、充電サービスの実現という「夢」に、人生を賭けてみませんか?

私は、あらゆる分野のパートナーが世界一となるべく、「エネルギー」の特許ライセンスで支援したいと考えています。各分野での強みを活かし、感動の新製品を社会に広く創造しませんか?パートナー提携にご興味を持たれ方は、ぜひご連絡ください。

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企画・制作・編集:『私の哲学』編集部 インタビュアー:杉山大輔 ライター:夏目みゆ 撮影:稲垣茜