杉山: 海外での生活経験があると、よくグローバル社会では何が必要かを考えることがあります。人は自分を知らなければ他の人と比較することもできず、差別化を計ることもできません。つまり自分のアイデンティティを知ることが個人も企業も重要だと思いますが。
須賀: 会社として見る場合には、コーポレートミッションという言葉ですね。コーポレートミッションはまさにそれぞれが持っているアイデンティティから、その会社が社会にどう関わっていくのか、逆に社会にどういう形で、何の分野でどういう風に貢献することを目的とするのか、ということですね。そういうことをはっきりと書くことです。これがしっかりしている会社は不思議と伸びる。これがないような会社は大抵だめですね。「うちのコーポレートミッションは金儲けです」なんて言ったら絶対だめですね(笑)。
杉山: ミッションを掘り下げて長いスパンでできるようなことを目標にしていけば、自然と数字も出てきますし、どんな社会的な行動をしなければならないかを社員も共有できますね。
須賀:
アメリカでもコーポレートミッションをみんなすごく大事にしていて、それを守っていれば会社はぶれない。世の中がどんなに変わっても、多角化をしても、ミッションがぶれなければ会社はしっかりしている。ミッションがぶれてくると妙なことに会社はおかしくなっていく。特にベンチャーレベルでは、そんなに多く多角化をするわけでもないので、むしろ他の人がやらない特定の部分ね、そういうことの中で初めてよそとの差別化がつくわけだから。そのコアのミッションを語る言葉は、一番その社員やお客様にも浸透するべきだし、しなきゃ儲からないし(笑)。「何この会社?何やっているの?」と思われてしまいますからね。

杉山: 継続的に考えられるものが大切で、会社もそうですが、経営者も同じですね。
須賀: コーポレートミッションをまず考えることが事業計画書においては重要で、何がやりたいのか?何をしたいのか?それがなければ事業計画書にならないし、それが世の中に対してどのようなかかわりをそれによって持ちたいのか、それでどういう貢献になるのか。その結果としてお金が儲かるのだろう。まっすぐに、「すぐに金儲け」ではないんですね。
日本のベンチャー企業の、今までの経営や教育、ベンチャー業界そのものの、ある種の「いかがわしさ」みたいなものは、実はそこのところがすごくいい加減で、何でもいいから焼肉屋をやったから儲かったからそのままやっちゃうとかね、サーバーをいっぱい売ったら儲かったとかね、無理やりにでも押し込んで儲けちゃうとかね、何か売りつけて押し売りみたいな商売で儲かった奴が、それで上場できちゃったりね。それがベンチャーのエースだなんて言われちゃうとね、僕らアメリカで長くいろんなベンチャー企業を見てきているし、経営を習っている人間からしてみると、やっぱり資本主義は実はそういうものではないんですよ。
言葉は悪いけれども、そういう、人の何かを掠め取る、ドロボー資本主義的な発想ではなくて、本当にこれがやっぱり世の中から支持を受ける、だからこそ大きくなるのだと、そのために自分としてはその中心としてね、寝食も忘れてですね、自分の仕事に一生懸命社長として打ち込む。杉山君自体も大変だと思うけど (笑)。そうじゃなきゃやっていられないですよ。
杉山: 相手が本気である、また自分が本気であれば、相手も本気になる。
須賀: そうなんです。
杉山: 須賀さんが先ほどおっしゃっていた、自分も経営に参加するということも、相手にとってはその連鎖反応が出て、まさに相乗効果ですね。