
須賀:
僕はMVCのベンチャーキャピタルの社長を4年間務めましたが、結局日本で投資した会社はタリーズやケアネットを初めとしてうまくいったのですよ。できたばっかりの会社に投資するのは、ビジネスモデルがいいとか、ニッチがあるとか、そういうこともありますが、基本的にはその人の一生懸命さ、人並み外れたものすごい情熱があるとうまくいくと思います。
やっていることはなるほどまあ面白い。ただ面白いものなら世の中にたくさんある。でも、ここまで必死にやっているのなら、そんなにいい会社を辞めてまで必死にやっているのなら、これは何とか世に出るだろうな…と。また出してやりたくなるねと。それで応援団がつくのです。
杉山: 確かにそうですね。
須賀: 応援団がつくということは、みんなもやはりエネルギーや情熱を逆に感じて、こっちもそれなりの情熱で答えなければならないと。あなたが言う、まさに相乗効果。応援団側と起業家本人側の間にそれが非常にでてくる。その覚悟の程のものすごさっていうのはね、人を動かすのですよ。世の中には、起業はしたいけどすごくいい加減な感じでやっている人が、残念ながら非常に多いのですよ。
うちの塾生を見ていると、「とにかく会社を絶対にやる」とか、BusinessPlanが完璧にうまくいっているかはわからないけど、とにかくこれだけは「命かける」というような姿勢があるわけですよ。そこまで言われちゃうとね、やっていることは決して無理なことではない、ただ難しいけれどもできないこともないなとこちらが判断すれば、「じゃやってみるか」「そこまでやるのならやってみようか」と。それでお金も出そう、役員にもなって会社の責任も背負ってやろうと、いろんな投資家を紹介して、お金が出せる人から出してもらう。
やはり僕もお金を出してもらう人を紹介することは大変なことで、変な会社に投資させて損ばかりさせると僕の信用もなくなるし、それでも僕が責任をもってこの会社をやるからとにかくお金を出してくださいと。それはお金だけに関わらず、たとえば大企業に取引をしてもらうとかね。どんなにいい商売でも、できたばっかりのベンチャー企業と、大企業が取引してくれることはまずありえない。ところが大企業が取引をしていることがある。大企業の担当窓口の人っていうのは、その期の業績評価が人事考課を左右するわけですからこれはこれで大変です。変なことをやって「なんだこいつは。」と言われるし。
どんなにすばらしいものでも、そのベンチャーに対して、お金だけではない信用であるとか、今の例のような大企業の立場であっても、応援してくれるというのは、みんなそのベンチャーに関わることによってリスクを共有するんですよ。だからそのみんながリスクを共有するような状況まで引きずりこむだけの、とんでもない情熱とエネルギーがその人からオーラみたいになって漂ってくるっていうのは、すごく大事なことです、それを感じたら黙って金を出すのです。MVCの時、日本で10社くらいやって、7社くらい上場したかそれに近いところまで行ったかな。
杉山:
ミッションですね、お互いリスク共有し、世の中に出すシナリオ。
須賀: 結構大変ですけどね(笑)ベンチャーだから、途中でうまくいかなかったり金がなくなってつぶれそうとかね(笑)。ただおかしなものでね、そこまでコミットしている経営者・起業家であれば、やっぱり誰かしらが助けるんです。世の中よくできたもので(笑)、あそこまでアイツがやっていてあれだけ困っていると、「よしわかった」、黙って金を貸して儲かるまで返さなくてもいいよと。そういうのが出てくる。不思議なものでね(笑)。何でその人にそんなことをしてくれたのですか?と訊くと、「あいつが気に入ったから」だっていうのよ。タリーズ社長の松田君自身もまさにそういうことの連続でここまできたわけだけれども、それ以外にいろいろな会社を見ていても、成功してきている会社には、そういうのが必ずあります。