株式会社インターリテラシー

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こだわりがあるかどうかが問題

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杉山: 「自分探し」をSFCに入ってからするということを、どう思われますか?

阿川: もちろん、それも構いません。最初から自分の目標がはっきりわかっている人ばかりでは、ないですよね。ただそこには2つ前提があると思いますね。よくわからないけど来る。それはいい。僕も大学はただ行っただけだから。ただしいったん何かに興味を持ったときは、とことんやる集中力。これが第1の前提です。そして、そのことをやっているときは楽しくて仕方ないんだと。対象は何でもいいんですよ、「鉄ちゃん」でもいいし(笑)、グルメでもいい。ただ、突き詰めて、何かをやるしつこさがないと、学問でも仕事でもできないと思いますよ。

杉山: そうですよね。続かないですよね。興味ですよね(笑)。

阿川: 興味があるだけではだめで、対象への集中とこだわりがあって、きちんと考える力があるかどうかが大事です。私の友達で学校の勉強はできなかったけれど、なぜかジャズにだけは詳しくて、N.Y.のどこに行けば何が聴けるか全部わかっている。アメリカに行ったことなどなくて、英語もできないのに、ジャズのことならとことん追いかける。その友人が、今はある生命保険会社の重役やっていますからね(笑)。

杉山: こだわりのすごい方なんですね(笑)。

img阿川: しつこいんですよね(笑)。考えることに貪欲。persistentというかねちっこい人っていうのは、多分良いですよ。もう一つの前提は、学校側の問題で、こうした学生が一度興味をもてば、「これはおもしろいな!」と思い、猛然とやりはじめる。そういった学生に……何の分野でもいいのですが、自分の専門分野から、遠く広い世界を見渡すような、そうして力をもっていて、それを伝える能力と意思を伝えることのできる教員を、我々が揃えなきゃいけない。心理学でもバイオでも何でもいいのですが。

例えば税金の研究なんていうのは面白くなさそうですよね。それを力があり視野の広い人がやれば、これは面白いんですよ(笑)。移民法でアメリカを語ってしまう人もいる。関税の歴史で世界の歴史を語れる人もいる。伝染病だけで世界を語れちゃう人もいる。そういった、何か発想の豊かさみたいなものを持っている、あるいは考え方が人と違うものを持っている。そんな教員がいれば、自然と面白い学生が集まると思うんですよね。それが出来るか出来ないかで、学校の本当の力量が問われるのです(笑)。こうした教員を集めるのは、とても難しいのですよ(笑)。書類の審査をしてもわからないですものね(笑)。

杉山: 後から分かるということも出てきますよね。

阿川: 今SFCには、SFC出身の教員がぼちぼち帰って来てて、自分が受けた教育を通じてその辺を分かっていると思います。江藤淳の授業をとって「D」つけられて、この野郎!と思って頑張ったとかね。そう言うのもいるよね(笑)。これからも卒業生が社会に巣立っていって、いろいろ経験をして、大きく成長して、また帰ってくる。楽しみですね。

杉山: 今のSFCのスローガンであるDesign Yourself についてどう思われますか?

img阿川: デザインという言葉はなかなか難しい言葉で、総合政策をやる一部の人はデザインという言葉が好きですね。SocialInnovation、BusinessPlanning、都市計画とか、SFCも慶應全体もデザインという言葉に凝っている。だけど、僕らの年代では「デザイン」という概念に一部反発もあってね。壮大な社会のデザインを企てて、惨憺たる結果をもたらした、共産主義や社会主義に対する反発から来ているのだと思います。社会をデザインできるというのは、比較的新しい考え方なんですよ。私自身は古いところがあって、社会全体をデザインするなんて、所詮できっこないと思っています(笑)。だから老子なんて読んでいるわけですよ。「無用の用」なんてね。宗教や哲学にも関連しますが、この世界には、多分神様にしかできないことがたくさんあって、人間がなんでも計画できるというのは、傲慢だと思います。ですから僕はデザインの前にthinkだと思いますよ。

杉山: 「考える」ですね。

阿川: もちろんデザインもいいのですけど、「デザインってそもそも何?」と、考えるところから出発する人が欲しいよね。「デザインってそんないいことなの?」「SFCってそんなに良いとこなの?」別に否定的に考えろというのではなくて、SFCのような、みんなが先端的なことを元気よくやっているところでは、そのこと自体を疑ってかかるだけの、健全な懐疑心も持ってほしい。受験生にもよくいますが、「何でここ来たいの?」って訊くと、「問題発見です!」と答える。分かっていないな……と。学校が宣伝用のパンフレットに書くような、薄っぺらいものじゃだめだと。よくわからないけれど、それを自分の言葉として考え、表現できる。「問題発見」って何か、「デザインするとは何か」という事を、根本から考えて考えて、考えぬくような人に来てほしいですね。

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