杉山: 御社が手がけた製品はどれもきれいなデザインで、なんとなく雰囲気が似ていますね。
ササダ: どちらかというと、デザイナー達には、「これはBRAVISのデザインだ」とわかるものは作るなと話しています。芸術家であれば、これはピカソだとか、これはシャガールねとかで良いかと思いますが、我々商業デザイナーは芸術家とは違います。まずデザイン依頼されるクライアントには個々の課題があり、解決策も自ずと違ってくるのが当然です。従いまして出てくるデザインの傾向が同じというのはおかしな話です。それでも時々ブラビスさんのデザインは雰囲気が似ていると言われることがあります。私がディレクションをしているからでしょうか。
杉山: でもかっこいいですよ(笑)。
ササダ: 私は、子どもの頃からデザイナーになりたくてなった訳ではないのですが、いろいろと試行錯誤の中でやってきて、デザイナーになってよかったと思うのは、一番好きなことで喜びや感動が持てるということです。やはりそれがないと続けることが難しいです。杉山さんもデザイン系の仕事をしておられるからわかると思いますが。
杉山: そうですね。
ササダ: 好きだからできることで、したくない嫌いな仕事をいくら「やってほしい」と懇願されても、やろうかどうしようかと考えるじゃないですか。お金とかを抜きにして、とにかくこれ好きだからやっていますということを自分ができるのがうれしいですね。
杉山:
僕の父親は工場の長男でいずれ継ぐことを考えて工業高校に入ったのですが、どうしても自分に合わないと思って武蔵野美術大学に方向転換したんですよ。特に僕の仕事に対しては何も言わないですが、「好きなことを仕事にしろ」とは小さい時から言われていましたね。好きな仕事だからこそ一生懸命できるし、とことん突きつめることもできますからね。今の仕事は、コンサルティングとデザインのマネジメントですが、好きなことなので、クライアントをどのように喜ばせるか、どうやったら他と差別化ができるかずっと考えています。寝ている時も考えています。
実際ササダさんとの共通要素は、クライアントに喜んでもらうということが好きで、その好きなことをやっているという点ですね。
ササダ: そうですね。新入社員が入ってくると私は一日かけてみんなと話をします。その時にこの仕事が嫌いだったらこの会社では無理ですよと言います。嫌いだったら続かないでしょうし、好きだからやれるという気持ちを大事にしなければならないと言います。人間やってみてうまくできて他人から褒められるともっとやってみようという気持ちになるのではないでしょうか。私はデザインが好きでやっていますが、実は「戦っている」ことが好きなのです。
杉山:
戦う?
ササダ: 戦うのが好きです。戦うっていう意味は、例えば「氷結」はスーパーやコンビニで毎日競合商品と戦っています。これは自分が売れるかどうかという「戦い」をしているわけです。商品の「戦い」は私の「戦い」でもある訳です。だから競合他社が新商品を発売しシェアを拡大し、私のデザインした商品が売れなくなってしまったら、これは私の負けです。その逆のパターンもあります。そういう「戦い」を日々しているのがすごく好きです。
杉山: なるほど。
ササダ: ブラビスでデザインした商品をしょっちゅうスーパーやコンビニに行って、見ています。自分の子どもみたいなものです。残念ながら、死んでいく商品もあります。大きく成長する商品もあります。中にはデザインだけで売れている商品もありますが、多くの場合はデザインの力だけで売れている訳ではありません。もちろん商品自体の善し悪しもありますし、値段が高いか安いといった要素も大きいです。色々な要素がありますが、パッケージデザインでは何が重要かといいますと、まずお客様が店頭でその商品を手に取るかどうかです。0.2〜0.3秒くらいパッと見て“あっこれ”と思って手に取らせる力。そこはパッケージデザインだけの仕事です。そこで戦いを毎日しているというのが私の喜びです。
杉山: そういう戦いが繰り返された結果、4年も継続的に「のどごし生」が売れているのはうれしいですね。
ササダ: うれしいですね。
杉山: 継続的に並ぶというのには、それだけ「パッと見て」の商品の強さがあると思いますね。
ササダ: だからパッケージデザインは2年に1回は見直す時期がくるのです。最近ではもっと短いスパンで見直しをしているケースもあります。
杉山: そのような活動や姿勢も商品には影響しますね。企業のアイデンティティもすべてその商品に凝縮されるわけですね。
ササダ: そうです。