杉山: プロレスラーを目指して留学することも行動力があると思いますが、異業種業界からの突然の転職もすごいですね。
Kage: もともと行動力はある方だとは思いますが、まさかカリカチュアを本業にするとは思っていませんでした(笑)。才能に満ちた素晴らしいアーティストがごまんといる世界で、私のように格闘技ばかりやってきた人間が今後アーティストとしてどうやって生きていくか。ひたすら描き続けるしかありませんでした。どこに行くにも紙とペンを持って、とにかく描き続けました。
杉山: カリカチュアアートの世界に魅了されたんですね。
Kage: 現地のカリカチュアリストの下で手伝いをして2か月目に、欠員補充のためイベントに急きょ駆り出されることになりました。実際はイベントまでの移動に私の車を使いたかっただけみたいなのですが、理由はどうあれ大勢の方の前でデビューすることができるのですから、嬉しくて仕方ありませんでした。いざ会場へ到着すると緊張もあったのだと思いますが、私はただ失礼のないように一生懸命カリカチュアを描いていました。
杉山: それは緊張しますよね。Kageさんはどこへ行っても何をしても一生懸命な方ですね。
Kage: ところがそこがポイントなんです。私たちはイベントやパーティではアーティストであると同時にエンターテイナーです。ライブスケッチをする時は一生懸命に描いてはいけないんです。楽しく描かないといけないんです。でも当時の私には余裕がありませんでした。とにかく必死でした。会場内には5人ほどアーティストが出張していたのですが、楽しく描けるアーティストのまわりにゲストは集中し、私はとても悔しい思いになりました。
デビュー出来た嬉しさと、思うようにいかない悔しさが入り混じる複雑な思いで会場を後にしようとした時、私が描いたお客様らがまさかのスタンディングオベーションを私に送ってくらたのです。あの時の感動は生涯、忘れることが出来ません。久しぶりに「ありがとう」と言われた気がしました。この時、自分はこの道で生きていこう、もっとスキルを上げてたくさんの人々に喜ばれるアーティストを目指そう、と思いました。