杉山: 弊社のインタビューシリーズ『私の哲学』ではこれまでゲストの人生の哲学、ご信条をお聞きしています。Kageさんの大切にしておられるご信条をお聞かせください。
Kage: 私は生涯、人と向き合い、人を描いていきたいと思っています。
カリカチュアの主人公はあくまで「人」。魅力的な人を1人でも多くカリカチュアで作品にし、多くの方に見て楽しんで頂き、何かを感じて頂きたい。その方たちが歩んできた人生や時間を価値あるものとしてカタチにしていくこと、それが私のカリカチュアアーティストとしての使命だと思っています。
杉山: 確かにKageさんの作品は、絵自体はもちろんのこと、モデル自身が楽しい方が多いですよね。浅草の方々を描いた作品も最高ですね。地元に根づいているからこそだと思うのですが。
Kage: 会社と自宅がある浅草は人情溢れる魅力的な街です。浅草は伝統、文化、そして芸の街です。でもこの街の一番の財産はそこに暮らす人だと私は思っています。私は毎日先輩方からたくさんの元気と笑顔をもらっています。浅草が好き、浅草の人が好きだから、街を歩いては地元の人たちを描かせていただいています。
杉山: こうしてKageさんのカリカチュアが浅草中に広がっているんですね。29歳でカリカチュア世界大会で優勝なさったのは、日本人として快挙ではないですか?

Kage: 優勝は私の大きな目標でした。私みたいに先天的な才能を持たない格闘家くずれのアーティストがこのような大会で優勝した、というのは快挙だと思います。ですが私は世界大会優勝をゴールと思っていたわけではありません。
私には夢があります。それは、「カリカチュアを通して1人でも多くの人々と出会い、1つでも多くの笑い、感動、サプライズを提供し、明るい社会と人々の幸福に貢献する」こと。これを実現するには、最高峰の舞台で一番になれるだけの技術と精神力を持っていなければ実現することは出来ないだろうと思っていました。
優勝を目指す道程は地道なものでした。遅寝早起きで毎日練習に明け暮れました。どうしたら勝てるんだろう。 それだけを考えた1年だった気がします。手にはペンダコができ、腱鞘炎になって入院したこともありました。大会では、私より技術も経験も圧倒的に上の方々が大勢いましたが、最後はその場でどれだけ自分の力を発揮できるか、という自分との戦いでした。
杉山: 「情熱に勝るものはない」という言葉がありますが、Kageさんのお話を伺い、ますます確信しました。しかし、情熱を絶やさず持ち続けることは誰しもできることではないと思います。すべてに対して、瞬間を大切に全力投球なさっているのはなぜですか?
Kage: 時間は限りあるものという意識が、そうさせているのかもしれません。私自身幼少期死にかけたことや、第一子を亡くしたこと、親友の死など、人生の別れに直面したからこそ、意識するようになりましたし、今を大切に精一杯生きようと思えるのです。