インタビュー・対談シリーズ『私の哲学』
私の哲学Presents
第55回 オーガスト・ハーゲスハイマー 氏

スーパーフード『Vege Power Plus』、アサイードリンク『効酸果』などの健康・美容食品を生み出している、アンチエイジング・スペシャリストのオーガスト・ハーゲスハイマー氏。今年55歳になるとは思えないほど若々しい氏に、仕事に対する姿勢、健康理論について伺いました。

Profile

55回 オーガスト・ハーゲスハイマー(おーがすと・はーげすはいまー)

株式会社アビオス 代表取締役 | 栄養科学博士
1962年福島県生まれ。アメリカ・サンディエゴ州立大学で医学を学ぶ。1998年、父と設立した会社を売却し、ハワイへ移住。栄養学とエイジングへの興味が芽生え、理論を学ぶ。2002年、より良い自然環境を求めて家族でニュージーランドに移住する。栄養学と代替ヒーリングプラクティスを深く学ぶ。長年の研究から「人間の体は自然の力で回復できる」という結論に達し、オーガニック素材で無添加の美容健康食品をつくるためアビオスを設立。アンチエイジング・スペシャリストとして、オーガニックエステティックサロンのスキンケアラインのプロデュース、レストランのアンチエイジングメニューの監修を手掛けるほか、表参道のコンセプトスタジオ『Veda』でフード・ヒーリングワークショップの講師を務めるなど、テレビ、雑誌、セミナーなどで活躍。
主な著書に『20歳若く見える人の食べ方』(ソフトバンク新書刊)、『老けない人はやめている』(講談社刊)、『若返りスイッチをONにする食べ方』(小学館刊)、『オーガスト流 30日で体が10歳若返る食事』(講談社刊)、『ココナッツオイルが効く!』(主婦と生活社刊)、『卵は最高のアンチエイジングフード』(三空出版刊) 他多数。
※肩書などは、インタビュー実施当時(2017年5月)のものです。

プロ意識を持つ

社員にはよく、「仕事のプロセスを作りなさい」と言います。良いマネージャーになりたい、周囲の人と上手く仕事をしたいなら、第一にプロセスを作ることです。プロセスは合理的に仕事を進めるために必要なことで、マニュアルとは違います。どんなに経験を積んだパイロットでも、必ずチェックリストに基づいて準備をするから、きちんと飛行機を飛ばすことができる。そこにはプロ意識があります。

あるレストランで、「今日の魚料理は何ですか?」とホール係に訊ねると、「すみません」と言って調理場へ聞きに行きました。「魚が食べたいんだけれど、このソースは苦手なので、違うやり方にできませんか?」と言うと、また聞きに行く。そのレストランで働いているなら、その場で答えられて当然です。これを、お店の教育がなっていないというのは間違いだと思います。お店の人から教えてもらうのを待っているだけではだめ。同じお店でも、とても明るくて何でもきちんと受け答えができて、「今日はワインを飲まれますか?とても良いワインが入っているのでお薦めです」と言える人もいます。何が違うのか。プロになりたいというpassionを持っているかどうかでしょう。時給分の仕事をすればいいという気持ちではなく、お客様に喜んでもらいたいと思っているからメニューを覚えたり、ワインについて勉強したりする。お店にとってこういう従業員は宝物です。ワインを薦めたことで売り上げが上がるし、満足したお客様はきっとまた足を運んでくれます。

ビジネスのチームプレイはメドレーリレー

マーケットはいつも動いています。消費者はたくさんのお店の中から自由に選ぶことができ、お店側ではその選択をコントロールできません。だから、ビジネスも人間と同じで、常に成長していないとだめなのです。そのために僕は、一人でできることよりもチームでできること、仲間でできることを大切にしています。企業におけるチームプレイは野球でもなければサッカーでもない、水泳の400mメドレーリレーです。背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎ、自由形の代表が集まったチーム。得意分野はそれぞれ違うけれど、4人の目標は金メダルで一致している。自分が任せられた部門ではI’m competing with myself. それが理想的なチームプレイだと思います。

人間はCan’t be good at everything. だから、得意なこと、好きなことを伸ばす方がいい。僕の5人の子どもたちの中には数学が苦手で悩んでいる子がいますが、「数学が苦手でも心配しなくていい。数学の宿題をする時間は好きなピアノの練習に充てなさい」と言っています。

水を捨てている日本

東日本大震災のとき、おかげさまで福島の実家は大きなダメージを受けずにすみました。猪苗代に住んでいる叔父がすぐに相馬市でボランティア活動を始めて、何か手伝えることがないか聞くと、相馬市にはボランティアの数が増えていて物資も到達しているけれど、隣の南相馬市には何もない、と。日本赤十字社に連絡したら、原発に近くて危険だから南相馬市には行かないと言うんです。海外では、軍がヘリで運んだ支援物資を被災地の上空から落とす映像をよく見ますよね。テレビでニュースを見ながら、日本ではどうしてそうしないのかと一週間くらい悶々としてしました。そして、やっと気づいたのは、Just do it. I’ll go ! トラックを借りて、東京のフードバンクの人たちと一緒に、あの年の5月3日、10.5トンの食料品を南相馬市に持って行きました。南相馬市に物資が届いたのはそれが初めて。地元の新聞、ラジオ、テレビが放送してくれて、朝6時ぐらいから2,000人以上の人が列を作り、10.5トンあっても足りませんでした。最後の数百人には何もなくて、「本当に申し訳ないです。I’ll come back」と頭を下げるしかなかった。

その後5年間続けましたが、1年、2年経った頃から物資が集まりにくくなりました。仮設住宅に住んでいる人たちに聞くと、一番必要なのは安全な飲み水でした。知っていますか?日本のルール。賞味期限が3分の1過ぎた時点で、品物を店頭の棚から下ろしてしまうんです。このルールによって多くの水が捨てられています。僕はあちこちに連絡して、「まだ賞味期限がきていない水を棄てるならください。買います」と言っても、どこも返事はNO。唯一サントリーだけがOKしてくれました。

体内をきれいに

年齢がいくつであっても、体内がきれいなのは良いことです。体内というのは、腸内環境のこと。アビオスのコンセプトは、“体はきれいなものを入れると喜ぶ”です。汚れたものを入れて喜ぶ体なんて絶対にないはず。人間の体は、きれいなほど何をやってもより効果が出ます。体が汚いと、同じトレーニングをしても結果が違います。体内がきれいな体と汚れている体が同じ栄養バランスの良いサラダを食べても、吸収する栄養分の量は異なります。しかし、今の世の中では、毎日の食事やおやつ、ビールやワインなど、添加物が入っていないものだけで食生活を続けることは、都会に住んでいる限り、日本だけではなくどの国でも不可能になってしまいました。

消費者は、健康食品や美容製品に対して、“健康になる”、“美しくなる”といった目的を期待して購入するのに、なぜ汚染された製品を買わなくてはならないのでしょうか。僕がサプリメントにはまっていた30代の頃の栄養学は、栄養バランスや栄養が豊富に含まれている食材について学ぶのではなく、栄養成分について学ぶ学問でした。錠剤なら毎日どれくらい摂るか調整できるから、といろいろなサプリメントでビタミンCやBを摂取していました。でも、原材料に何が使われているかまでは、科学を勉強した僕でも考えたことがありませんでした。

正しい理論を知ろう

食材やサプリメントにケミカルな成分が含まれるようになったのは、おそらくここ50年ぐらいのことで、人間の脳はまだそれを受け入れていないと思います。脳は、体内に入ったものが良い成分なのか悪い成分なのか判断できないと、とりあえず肝臓に溜め込みます。きれいな土壌で育ったニンジンと、隣の汚れた工場で育ったニンジン、どちらも見た目は同じでβカロチンの量が変わらなくても、中身はどうなのでしょう。人間にとって環境は重要ですが、植物にとっては環境がすべてです。2001年頃、調べた限りでは僕の期待に応えられる製品はなかったけれど、今はグリーンフードカテゴリーにも良い製品が増えました。僕は自分が作った『Vege Power Plus』のバランスはとても良いと信じています。

もっと良いバランスがあるという新しい考えになるまで、中身を変えることはしません。
パレオダイエットという旧石器時代の食生活を真似るダイエット法がありますが、ライフスタイルや自然環境など、私たちはあらゆる面において旧石器時代とは違った時代に生きています。環境が違うのに、昔の食事を真似るだけが十分なことなのでしょうか。人間の体をつくっている細胞に必要な栄養は何なのか、科学的に証明されているものがたくさんあります。健康で美しくなるためには、“栄養”、“食”に関する正しい理論を知ることが大事です。

大輔の第一印象は、パワーがあってキラキラしていて、この人は可能性がある、すごいことをやっているんだなと感じさせてくれて、何かうれしかった。こんな男がいるなら、日本の将来は大丈夫じゃないかな。僕の方が20歳年上でジェネレーションは違うけれど、お互いアメリカと日本で育って、バイリンガルでバイカルチャー、若い頃から父親としての責任を持ち、自分でビジネスをはじめている。この人は僕のことを理解してくれるし、僕も彼のことを理解できると思った。
インタビューでの大輔との会話は楽しくて、可能性を感じ、この人とならさらにいろいろなことにチャレンジできると思い、一緒にアビオスで仕事のパートナーとしてやることになりました。インタビューしてもらって、僕は得ばかりしています(笑)。

株式会社アビオス 代表取締役 オーガスト・ハーゲスハイマー


記事をアップした7月2日は、オーガストさんの55歳の誕生日。偶然、掲載回と年齢が同じになりました。彼はしっかり運動して、食べ物に気を遣い、毎日元気に活動している、僕の周りではレアな55歳です。今年38歳になる僕も、今までより健康について意識するようになりましたが、食べ物に関する正しい知識や、何を摂取するべきかを知っていると知らないでは自分の健康を左右すると思います。
このインタビューがきっかけで、株式会社アビオスの副社長に就任することになり、普段愛用している商品を多くの方々に広げる活動を開始しました。「なぜ大輔は元気なの?」と良く聞かれますが、それは、良いものを食べて免疫力を上げ、楽しいことをしているからです。スーパーフード『Vege Power Plus』、ビューティードリンクとして多くの女性に飲んでもらいたい『効酸果』(モンドセレクション6年連続金賞、2017年最高金賞受賞)を、僕は毎日飲んでいます。詳しくは、アビオスオンラインショップから。僕もこれから正しい栄養知識や運動をどんどん取り入れ、パワフルな55歳になるので皆さんどうぞよろしくお願いします(笑)。You are what you eat!

『私の哲学』編集長 DK スギヤマ

2017年5月 株式会社アビオス品川本社にて  編集:楠田尚美  撮影:Sebastian Taguchi