杉山:
第6回「読売・吉野作造賞」を受賞されたご著書の『憲法で読むアメリカ史』ですが、ここまでアメリカの歴史が細かく書かれている内容の本と、僕は初めて出会いました。アメリカで住んでいた頃に、アメリカ史についての勉強はしましたが、憲法の切り口で書かれた本を読むのは初めてでした。
阿川:
大変でしたよ、この本を書くの、本当に(笑)。最初は連載でしたからね。本にする時、すべて見直して、書き直して、まだ満足できないところもあるんですけどね。身に余る賞を貰っちゃって。最初は何かの間違いかと思ったよ(笑)。
杉山:
僕が2000年に受けた先生の「取引と法」の授業も、法律を切り口に判例や物事を考える方法で、とても面白かったです。グループで法律の事例を勉強し、自分の意見をクラスに発表するという印象深い授業でした。僕は将来「国際的な舞台で活躍できる人間」になりたいと思ってSFCに入ったので、目的意識を持って、法律・ビジネス・環境・バイオなど、分野をまたがった勉強をすることができたので、すごくよかったです。
阿川:
SFCのスポークスマンみたいなことを言いますね(笑)。SFCはご承知の通り、最初からうまが合う人と合わない人がいるみたいで、合う人は、「こんなすばらしい学校はない、好きなことをして、実力を伸ばせた」と言うし、「なんだかわからない」ままで終わっちゃう人もいる。この学校は良くも悪くも個性が強いんですね(笑)。
杉山:
そうでしょうね。自分が何をしたいか分からないと2年目くらいからどうしていいのか分からないという状況になりますね。
阿川:
そう。あなたのような人は別だと思うけど、僕はね、高校3年生の段階で、自分が何をやりたいのか、うまく言えなかったし、わからなかった。一般的に言えるのは、何かをやりたいという強い思いがあって、その上で論理的に筋道立てて考える能力をつければ、そのあと、必ずなにかできるんですね。ですから、何をやりたいかがSFCにきてもそれほどはっきりしないなら、逆に少なくとも綿密に考える能力だけは、身につけてほしい。私はその能力を鍛え、引き出し、訓練するために、法律の、特に憲法の授業をやっているつもりです。その人が法律を専門にしよう、極めようとか、そんな気はぜんぜん無くてもね。
杉山: 考え方が重要ってことですね。
阿川:
つまり、「自分で考えよう!」、そういうことだね。
杉山:
先生の「総合政策学の創造」の授業PPTを拝見しましたが、大変興味深い内容ですね。僕が在籍している頃にこの授業があったらよかったのにと思いましたよ(笑)。これも考えることに重点を置いていますよね?
阿川:
あれは苦労が多いんですよ(笑)。早い話がね、総合政策学とは何かが、実は教員である僕も、よくはわからない。答えが一つであるわけでもない。そうであれば、多くの教員や外部講師の話を聞いて、考えてくれ。わからなかったら、とにかく考えろ。一緒に考えようと。ただし、ただ考えるだけではだめなんで、考えたことは「表現」しないといけない。自分の頭から外へ出して、他人に伝えねばならない、だから書けと。もちろん表現にはいろいろな方法があって、身体で表現する、音楽で表現する、何でもいいけれど、最も基本的な表現の手段は書くことだから、あなた自身が書かないといけないと。そこで文章指導みたいのもやってね(笑)。
杉山:
PPT拝見させていただきました(笑)。「主語と述語を分かりやすく」、「端的に書け」、「複雑に書かない」とか……。
阿川: 全部見たの?へ~?(笑)。
杉山: SFC-CLIPに登録しているので卒業後もSFCはチェックしていますよ(笑)。