杉山: もともとはプロレスラーを目指して渡米されたんですよね?
Kage: はい。幼少の頃の私は典型的な虚弱体質で、体が弱く、母に付き添われ週2回病院に通い、体質改善の注射を打っていました。どんなに気が強くていばっていても、体育の時間と給食の時間は自分の弱さを突き付けられる。劣等感の塊みたいな子供でした。そんな時、あるプロレスラーの本と出会い、強さへの憧れを抱くようになりました。以来、強くなりたい一心で体を鍛え始めました。レスラーが毎日スクワットを1000回やると聞いて、私も中学で1000回を達成していました。そして高校でレスリングをやり、卒業と同時にプロレスラーを目指してアメリカへ行きました。
まず、現地で体を大きくし、そして大会で優秀な成績を残して逆輸入レスラーとしてのデビューを狙っていました。ですが、正直に言うとアメリカ留学は自分探しの意味合いが強かった気がします。不安もありましたが、新しい世界に身を置き、新しい経験をし、新しい強い自分に生まれ変わろうと、とにかく必死でした。でも結果的にだれも頼れないという環境の中で、自分の求めていた強さのベースを作ることが出来たと思います。
杉山: すばらしい経験ですね。海外で新しい自分を見つけることができたのですね。
Kage:しかしそう思えるようになったのは後々のことで、はじめは孤独との戦いでした。誰のためでも、何のためでもない。ただ成績を残すためだけに知らない土地で練習をする毎日は辛かったです。そんなとき、カリカチュアが心のよりどころになっていきました。
杉山: カリカチュアはアメリカ留学中に出会ったのですか?
Kage: 私がカリカチュアを初めて知ったのは、子どものころ家族旅行でラスベガスに行った時です。今まで見たこともない「おもしろい似顔絵」カリカチュアは子どもながらにとても魅力的で、心に強く印象に残りました。
杉山: それがきっかけで我流でカリカチュアを勉強なさったんですね?
Kage: もともと絵を描くことが好きで、プロレスの武者修行中も、カリカチュアを我流で描き続けていました。語学学校のあと、ジムに行くまでの少しの時間をカフェで過ごすのが私の日課でした。そこで1杯のコーヒーを飲みながらカリカチュアをスケッチすることが、唯一心の休まる時間でした。そこで、再びカリカチュアの店舗と出会い、カリカチュアを職業にしている人がいるんだ!と、当り前のことなのですが、改めてカリカチュアリストという職業があるんだ、と思いました。
それから毎日のように、カリカチュアのブースに通い詰め、飽きることなく何時間でも見学をしていました。見学するうちにアーティストから変なヤツと思われながらも、トレーニング風景を見せてもらうことになりました。そこで見たものは、まさに子どものころラスベガスで感動したスタイルそのものでした。
杉山: 再び運命の出会いを果たすわけですね。
Kage: この再会をきっかけに、私はどんどんカリカチュアの世界へ引き込まれていくことになりました。